小児皮膚科を受診される方へ
大切なお子さんのお肌、それは大人の方に比べてとてもデリケートなものです。
また、お子さんのお肌の病気を治療する上では、自身が感じている症状や不快感をまだうまく説明できないお子さんや、痛みに敏感なお子さんのために、深い観察力と手早く正確な技術を併せ持った医師の存在が必要不可欠となります。
当クリニックでは、地域の拠点病院や地域密着の医院で多くの経験を積んだ皮膚科専門医の院長が、お子さんのお肌にこそ必要な視点で状態をよくよく拝見し、日常のケアまで視野に入れた診療を行います。
親御さんにとって何ものにも代えがたい宝物だからこそ、ここにしかない特別な小児皮膚科医療を、皆さんの一番近くで行っていきたいと考えております。
お子さんの今を守り、そして将来のことを一緒に考えることができる皮膚科専門医がここにはいる、そう思っていただけるようになったなら、医師としてこれ以上の幸せはありません。
お子さんのお肌が「何だかいつもと違うぞ」と感じたら、どんな些細なことでもお気軽に、あおぞら皮膚科クリニックにご相談ください。
症状別のご案内
いぼ
お子さんのいぼは、手の平や足の裏によくできます。幼稚園や保育園、小学生のお子さんが「足の裏にたこ(あるいはうおのめ)ができた」と言って来院される場合、その多くがヒトパピローマというウイルスの感染によるいぼとなっています。
いぼの治療は、症状によって異なりますが、液体窒素によって患部を凍結させ、ウイルスを表皮の細胞ごと破壊していく方法が基本になり、1から2週間毎の通院が必要になります。尚、痛みに弱いお子さんには薬剤塗布による治療(治癒までに時間がかかる場合や、一部自費診療になる場合があります。)や、内服治療も行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
水いぼ
水いぼは、ポックスウイルスの感染によっておこります。幼児から小学校低学年に頃までによく見られ、中央がくぼんで光沢のある大きなものから、淡い赤色の小さなものまで大きさも様々です。放置しておいても1~2年で大部分は消えますが、かゆみを我慢できずかいてしまうことで、全身に広がってしまうことがありますので、注意が必要です。
また、既に感染しているお子さんとの接触だけでなく、バスタオルやスポンジ、 ビ―ト板などの器物を介しても感染してしまうため、プールに入れないことや、集団活動に制約が出るケースもありますので、お早めに治療されることをお勧め致します。
水いぼの治療は、専用のピンセットで水イボを1つずつ摘まんで中身を取ります。尚、痛みに敏感なお子さんのために、痛みを軽減するための麻酔テープもご用意しておりますので、安心してご来院ください。
水ぼうそう
水ぼうそうは、とても感染力の強いウイルスで、約80%は5歳までに発症します。15日程度の潜伏期間の後、軽い発熱を伴う紅斑が多発し、さらに赤い小さな水泡となっていきます。
そして、水泡が徐々に膿疱化(うみが溜まった状態)し、1週間程度でカサブタになります。
一般的にお子さんの症状は軽いことが多いのですが、発熱やかゆみを軽減するために、積極的に抗ウイルス薬を内服することをお勧めしています。
とびひ
とびひは、すり傷、あせもや虫刺されをかいてしまった時の傷、ジクジクした湿疹などに細菌が感染して発症します。とびひは感染力が強く、細菌のついた手を介しても感染が広がっていきます。特に、肌に傷ができていたり、アトピー性皮膚炎などがあるとさらに広がりやすく、重症化する傾向があります。
とびひの治療は、まずは患部を石鹸でよく洗うことが大切です。よく泡立てた石鹸を含ませたガーゼでやさしく洗い、流水で洗い流します。そして、抗生物質を含んだステロイドが入った塗り薬や、浸出液をおさえるための軟膏を組み合わせて行います。
また、培養検査にて原因となる細菌を特定し、抗生物質とかゆみ止めの内服薬を併用するなど、最も効果のあるお薬を処方致します。
あせも
あせもは、汗を多量にかいた後に、汗がうまく皮膚の外に排出されず、汗が出る管が詰まることにより発症します。汗が大きく関係しますので、夏に多い病気です。また、一般的に乳幼児にできやすいことが特徴です。
小さなお子さんは、皮膚のバリア機能も十分に発達していないことに加え、小さな面積に汗腺が密集している(実は、汗腺の数は大人の方もお子さんもほぼ同じです。)ことから汗腺が詰まりやすいため、あせもがよく発症してしまいます。
赤いあせもがお子さんに見られた場合は、患部が炎症を起こしている状態のため、かゆみみがあったり、掻き壊すと広がったり、悪化したりする場合がありますので適切なケアが必要です。症状に応じて治療します。
かぶれ
かぶれとは外来性の刺激物質や抗原が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応です。
主に「刺激性」と「アレルギー性」の2種類に分類されます。大人の方であれば、化粧品や湿布などのかぶれ、金属アレルギーなどがよく見られますが、お子さんの場合には、以下のようなものが見られます。
砂かぶれ
手足の皮がむけたり、赤くなったり、ブツブツができたりします。砂遊びの後に生じるものが典型的です。砂かぶれは、症状が落ち着くまで砂遊びを控えるようにして、ステロイドの塗り薬で治療します。尚、お子さんがどうしても砂遊びをしたい場合は、ビニール手袋などを使用するのも一案です。また、普段からハンドクリームをこまめに塗っておくことも効果的です。
よだれかぶれ
よだれとともに付着する食べ物による刺激、よだれを拭き取る際の摩擦、拭き取ることによる皮膚の乾燥などが重なり、口の周りや頬などにもかぶれが生じます。食事や授乳の前後に保湿剤を塗ったり、ふき取るときにオリーブ油を使用することなどで、症状を軽減させることができます。
植物によるかぶれ
お子さんは日常生活で様々な植物と接触する機会が多く、植物が触れた部分をなぞるように線状に赤くなったり、水泡ができたりします。原因となる植物はウルシ、ハゼ、ギンナン、イラクサ、最近ではガーデニングブームの影響で、サクラソウ、キクなどの報告も増えています。原因である植物を同定するにはパッチテストが必要ですが、お子さんの場合には、原因が疑われる植物を避け、長袖、長ズボンを着用することで対処することが現実的です。尚、治療にはステロイドの塗り薬や、かゆみ止めの内服薬を使用します。
おむつかぶれ
おむつかぶれは、尿や便に含まれるアンモニア、酵素などの刺激によって、おむつの当たるところに赤いブツブツやただれとして発症します。また、炎症が強く膿疱(うみが溜まった状態)が出来ている場合には、カンジダ皮膚炎の可能性が考えられますので、膿疱の一部を採取してカンジダの有無を検査します。
おむつかぶれのみの治療は、汚物をよくふきとり、ぬるま湯でおしりを洗い、亜鉛華軟膏やワセリンを塗ります。また、ひどい時には弱いステロイド軟膏を塗ります。
尚、患部を石鹸で洗いすぎてしまうと、皮膚のバリア機能がますます壊されて悪化してしまうことがあるので、控えるようにしてください。
ヘルペス感染症
ヘルペス感染症には、以下のようなものがあります。
尚、ヘルペスウイルス感染症の治療は、抗ウイルス薬の内服が第一の選択肢です。大人の方の場合は、抗ウイルス薬の塗り薬のみで治療可能ですが、お子さんの場合には、抗ウイルス薬を内服した方が、初期では特に高い有効性が見られますので、いち早く受診して頂くことがとても需要です。
口唇ヘルペス
ヘルペス感染症の最も一般的な病態で、単純ヘルペスウイルスが原因で起こり、唇やその周囲に小さな水ぶくれが出来ます。感染力が強く、直接的な接触やウイルスがついたタオルやグラスなどを介して感染していきます。
大人の方に比べて、お子さんが発症するケースは少数です。
ヘルペス性歯肉口内炎
こちらも少数ではありますが、お子さんが初めてヘルペスウイルスに感染した時の症状として、ヘルペス性歯肉口内炎が現れることがあります。お口の中、舌、唇などに小さな潰瘍や白い苔のようなものが多発し、高熱を伴います。また、リンパ節が腫れが強く、お口の中の痛みにより、飲食が困難になります。
発熱は3~5日程度で下がりますが、お口の中の治療には約2週間ほどかかりますので、気になる症状が見られた際には、お早目に当院へお越しください。
カポジ水痘様発疹症
学童期からの発症が多く、アトピー性皮膚炎に合併する例が多く見られます。発熱、リンパ節の腫れとともに、顔面に小さな水疱が多数出現し、さらに顔面全体に広がり、水疱が破れるとただれてしまいます。また、全身状態が悪いと入院が必要になる場合もありますので、早めにご相談頂くことがとても重要です。
ヘルペス性ひょう疽
乳幼児では指しゃぶりで感染したり、逆に指から歯肉口内炎を生じることもあります。
多くの水泡、強い痛み、リンパ節の腫れ、発熱も見られます。
ヘルペスウイルス感染症の治療は、抗ウイルス薬の内服が第一の選択しで、初期では特に高い有効性が見られます。口唇ヘルペスなどの再発に対しては、大人の方の場合は抗ウイルス薬の塗り薬のみで治療可能ですが、お子さんの小児の場合には、抗ウイルス薬を内服した方が良いと思われます。
カンジダ性皮膚炎
カンジダ性皮膚炎は、便の中にいるカンジダ菌が、皮膚の弱い赤ちゃんのお尻について炎症を起こし、股の皮膚のシワの間にまで赤いブツブツができたり、赤くただれてしまうものです。
カンジダ性皮膚炎の治療は、患部の皮膚を顕微鏡で調べてカンジダ菌がいるかどうかを確認し、カビに効く抗真菌剤の塗り薬を使用します。また炎症が高度な時期はステロイドの塗り薬を併用します。