円形脱毛症
円形脱毛症とは
円形脱毛症は、頭部で毛を作り出す時期にある毛根が、免疫システムの異常により攻撃されてしまい、円形や楕円形に脱毛(脱毛斑と呼ばれます)が突然生じる疾患です。脱毛の範囲は10円玉くらいの大きさから、頭部全体、あるいは顔や体毛にまで及ぶ重度のものまで様々です。
中には自然回復するケースもありますが、放置することで症状が気になってしまい、それが原因でストレスを感じて症状が悪化するという悪循環にも成りかねません。また、適切な対応をせずに放置すると重症化し、治療期間の長期化や再発を繰り返すことで、完全治癒が困難になる場合もあります。抜け毛などの気になる症状があれば、早期の検査をお勧めします。
診察には触診・視診を基本とし、必要に応じてダーモスコピー(微細観察器具による検査)による毛根の検査を実施します。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の発症メカニズムについては複数の説がありますが、有力視されているのは、体内の免疫機能の異常によりリンパ球が自身の毛根組織を攻撃することで脱毛が引き起こされるというものです。また、甲状腺疾患や尋常性白斑などの他の自己免疫疾患と同時に発症することも確認されています。
アトピー素因(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患を持つ体質)も円形脱毛症との関連性が指摘されています。
さらに、遺伝的背景や精神的ストレスが影響すると考えられており、出産後のホルモンバランスの変化により女性ホルモンが減少して発症するケースも報告されています。
円形脱毛症の種類
- 単発型
老若男女を問わず幅広く発症しうる、最も多く見られるタイプの円形脱毛症で、突然、頭部に脱毛斑が1つ発生するという症状です。約8割の症例では1年以内に自然治癒すると言われていますが、「多発型」へと進行するケースもあります。 - 多発型
複数箇所(2か所以上)に円形の脱毛部分が発生するタイプです。適切な治療を行っても回復には半年から2年程度要することがあります。脱毛部分が拡大して連結することもあり、これを多発融合型と呼びます。 - 蛇行型
後頭部から側頭部までの生え際をなぞる様に、脱毛斑が帯状に細長く脱毛するタイプです。多くの場合は単発型から派生し、治療期間も数年かかる場合があります。 - びまん型
はっきりした円形の脱毛斑が現れず、急速に頭髪全体が抜け始めるタイプの円形脱毛症です。症状が進行する前に、できるだけ早期に適切な処置を開始する必要があります。 - 全頭型
多発型や多発融合型が進行し、頭部全体に脱毛が広がることで、全ての頭髪が失われるタイプです。症状が重度であり、長期的な治療を要することが多いです。 - 汎発型
全頭型からさらに症状が移行し、頭髪だけでなく全身の毛が抜け落ちるタイプです。円形脱毛症を起因とした脱毛の中では最も症状が重いとされ、全頭型と同じく長期にわたっての治療が必要となります。
円形脱毛症の治療
円形脱毛症は、多くの場合、適切な治療によって改善します。
まず、軽度から重度まで幅広く用いられる基本的な治療法として、塗り薬を使用します。効果は穏やかですが、副作用も少ないことが特徴です。重度の場合は、他の治療法と組み合わせて使用されることが一般的です。
また、内服薬として抗アレルギー薬やステロイド薬、JAK阻害薬なども治療に用いられます。それぞれ効果や副作用、費用が異なるため、患者さんの状態や年齢に応じた処方が行われます。
多発型の症状や、外用薬・内服薬で改善が見られない単発性の症状に対しては、ステロイドの局所注射治療が選択されることがあります。この治療は強い痛みを伴うことと、ステロイドの副作用を考慮して、小児には実施されません。
当院では円形脱毛症に対する光線療法も導入しています。光線療法はアトピー体質への効果が知られていますが、近年では円形脱毛症にも有効性が確認されています。2週間~月に1回の通院が必要ですが、保険適用治療のため自己負担が3割負担の方で約1000円程度であり、痛みも伴わないことから、他の治療方法と比べて受診しやすいというメリットがあります。
よくある質問
- Q:円形脱毛症は何科を受診したら良いですか?
- A:円形脱毛症は、皮膚科が専門です。症状の重度によって、外用薬やステロイド注射、光線療法などを使い分けて治療を行います。保険適用で実施可能な治療も多いため、まずは皮膚科を受診することを推奨しております。
- Q:円形脱毛症は、どのくらいの治療期間が必要ですか?
- A:脱毛斑が小さい場合や、数が少ない場合、発症から時間が経過していない場合(1年以内)については、1年以内に治療できるケースが多いとされています。しかし、脱毛斑が大きい場合や、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎などの疾患をお持ちの方、症状が起こってから長い時間(3年以上)が経過している場合は、治療に数年を要することがあり、完治する可能性も低くなります。
- Q:円形脱毛症の治療が終了してから気を付けることはありますか?
- A:症状の重症度やアトピー素因によっても異なりますが、円形脱毛症は約4~5割の確率で再発すると言われています。症状が収まっている間も、再発を防ぐためのセルフケアとして、ストレスの管理や規則正しい食生活を意識することが大切です。一度治療が終了したあとも油断はせず、自身の頭皮の状態や体調に気を配り、何か変化があった場合はすぐに医師までご相談ください。
当院の円形脱毛症治療
円形脱毛症の症状には様々な種類があり、年齢や性別を問わず発症する自己免疫疾患で、症状のタイプや進行度に応じた適切な治療を実施することが重要です。また、円形脱毛症は症状の進行が進むほど治療にも時間がかかるため、早期に治療を始めることが大切になっています。
横浜市都筑区にあるあおぞら皮膚科クリニックでは、円形脱毛症に対して光線療法を始めとした様々な治療方法を導入しております。円形脱毛症でお困りの方や、気になる症状がある方は、お気軽に当院までご相談ください。
